診療支援
診断

小児の糖尿病
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Diabetes Mellitus in Children and Adolescents
北中 幸子
(きたなかこども成長クリニック・院長(東京都文京区))

診断のポイント

【1】高血糖とヘモグロビンA1c高値。

【2】経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で血糖が基準値以上。

【3】ケトーシス。

【4】1型は年齢・体格ともさまざま。2型は学童以上で肥満あり。

【5】診療は,国際小児思春期糖尿病学会による「臨床診療コンセンサスガイドライン2006~2008」に基づいて進める。

緊急対応の判断基準

【1】ケトアシドーシス:意識障害,嘔吐,Kussmaul呼吸,ケトン臭がある場合。

【2】血液ガスで代謝性アシドーシスの程度を把握する。pH<7.3で軽症,pH<7.2で中等症,pH<7.1で重症となる。血液,尿ケトン陽性である。

【3】ケトアシドーシスのあるときは,生理食塩液の輸液を十分行いつつ,直ちに集中治療を行う。

症候の診かた

【1】多飲多尿・口渇

❶高浸透圧利尿による。

❷二次性夜尿症で発症することもある。

❸水分を十分に摂れない乳幼児では,容易に脱水となる。

【2】体重減少・倦怠感:尿糖排出によるエネルギー喪失と脱水による。

【3】嘔吐・腹痛

❶ケトアシドーシスでは,急性腹症に似た胃腸症状がみられることがある。

❷急性腹症の場合は糖尿病を鑑別に入れる。

【4】意識障害・昏睡:ケトアシドーシスを考える。

検査所見とその読みかた

【1】血糖値(空腹時,随時):最も重要である。簡易測定器を用いて少量の血液,短時間で測定できるが,正確には,静脈血採血で解糖阻止剤入りの採血管に採取して測定する。

【2】OGTT:明らかな高血糖,ケトーシスがあるときは禁忌である。

【3】尿糖

❶通常は血糖値が160~180mg/dL以上で尿糖陽性となる。

❷食後高血糖のみの場合,早朝尿によるスクリーニングでは陰性となりうる。

【4】グリコヘモグロビン(HbA1c)

❶過去1~2か月にわたる血糖コントロール状況を反映し,高値となる。

❷劇症1型糖尿病は,発症が急であるため軽度上昇か正常である。

【5】膵島関連自己抗体

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