診断のポイント
【1】腋窩や殿部,鼠径部などアポクリン汗腺の多い部位の炎症性の結節,瘻孔,瘢痕(図1図)。
【2】6か月以内に2回以上反復する。
症候の診かた
【1】反復性・有痛性・化膿性の病変。
【2】好発部位:腋窩,鼠径,会陰,殿部,乳房下。
【3】皮膚症状:結節,瘻孔(炎症性・非炎症性),膿瘍,瘢痕(萎縮性・網目状・赤色・肥厚性・線状)。
検査所見とその読みかた
【1】主に黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌が検出され,大腸菌,プロテウス,クレブシエラなども検出される。
【2】会陰・殿部では腸球菌も認められる。
【3】ただし本症の細菌感染は二次性である。
確定診断の決め手
再発性で細菌培養が陰性であれば確実。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
炎症性表皮囊腫,癤,化膿性リンパ節などが鑑別として挙げられるが,これらは通常単発性で集簇性に多発し,局面は作らない。
確定診断がつかないとき試みること
表在超音波検査所見も鑑別診断には役立つ。
治療法ワンポイント・メモ
【1】切開・排膿
❶急性期の膿瘍に行う。ただし再発も多い。重症例は根治的広範切除が効果的である。
❷表皮の変化だけでは深部の病変はわからないので,画像での正確な評価も必要である。
【2】薬物療法:切開で改善しない,手術できない場合は,クリンダマイシン外用またはテトラサイクリン系抗菌薬内服,続いてリファンピシン+クリンダマイシン内服が推奨される。
さらに知っておくと役立つこと
病変部ではリンパ球,好中球の強い浸潤があり,TNF-αはこれらの炎症細胞を活性化している。そのため今後は抗TNF-α抗体の生物学的製剤の投与が本邦でも一般的に行われるようになるであろう。
文献
1)大嶺卓也,他:化膿性汗腺炎 最近の話題.皮病診療 40(5):456-463,2018
2)葉山惟大:化膿性汗腺炎の新しい概念と治療.臨皮 72(5):132-137,2018