Ⅰ.思路障害の概念
【定義】
思考とは,一定の目的を志向し,目的に適合した概念を順次想起しながらこれらを結びつけ,判断や推理によって課題を分析していく精神活動である.思考は,刺激事態のなかから問題点を抽出し(問題性),それに対する外的反応をいったん停止し(延滞性),問題解決に向かって内的過程を進行させる(志向性)とともに,その際,前提から結論までが論理的なつながりをもつように監視する(論理性)という特徴をもっている.思考目標に到達するまでの思考の進行過程を「思路」という.
思考の異常は思考内容の異常と,思考形式の異常(思路の異常と思考の体験様式の異常)に分類される.思路の異常(思路障害)とは,思考の進み方が障害されることをいう.思考は出発点から目的に向かって順次進むが,この思考の過程が停止したり適切な順番で進行しないものが「思路障害」である.思路障害にはさまざまな種類があるが,一般に思路障害