【定義】
多幸とは,常に楽天的で機嫌の良い状態を指す.しかし,その状態は状況にそぐわないことが多く,内容に乏しいことから,他者に浅薄な印象を与えるのが特徴的である.
【分類】
多幸が生じる病態は以下のように大別される.
A.認知症に伴う多幸
1.脳血管性認知症
脳梗塞といった脳血管性障害により認知機能障害を呈し,多幸がみられる場合がある.
2.神経変性疾患における認知症
アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症,パーキンソン病,ハンチントン病などの神経変性疾患において認知機能障害を呈する.
これらのほか,感染症を基盤とした認知症(HIVなど),正常水頭圧症などにおいても認知機能障害とともに多幸がみられる場合もある.
B.物質関連障害における多幸
アルコールや精神刺激薬(アンフェタミン型物質やコカインなど)などの中毒性物質の使用に伴って多幸が生じる場合がある.
【鑑別診断のポイント】
まずは年齢を考慮