A.抗精神病薬の減量・スイッチングの必要性
抗精神病薬は,統合失調症をはじめ双極性障害など,患者の状況に合わせて幅広く処方されている.その最適用量もさまざまいわれているが,米国の医療指標においては,100以上のRCTのレビューに基づいた知見より,クロルプロマジン(CP)換算で1日300-1,000mgとされている.しかし病状不安定などで,やむを得ず抗精神病薬が追加され,結果多剤大量処方になってしまうこともしばしばある.わが国の2012(平成24)年の診療レセプト調査では,4割を超える統合失調症入院患者に3剤以上の抗精神病薬が処方されており,国際的にも顕著なものとなっている.今後,患者の高齢化や医療安全意識の高まりを踏まえ,顕著な多剤大量処方の是正,無効時に追加ではなく適切なスイッチングを行う必要があると思われる.
B.減量は1つずつゆっくりと
抗精神病薬の安全で現実的な減量だが,1種類ずつ,