診療支援
治療

双極性障害,躁病エピソード
bipolar disorder,manic episode
寺尾 岳
(大分大学教授・精神神経医学)

◆疾患概念

【定義・病型】

 DSM-5によると,気分が異常かつ持続的に高揚し,開放的で,またはいらだたしい,さらに活動性の亢進が生じる,いつもとは異なった期間が,少なくとも1週間持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい).そして,自尊心の肥大,睡眠欲求の減少,多弁,観念奔逸,注意散漫,目標指向性の活動亢進,困った結果につながる可能性の高い活動への没頭のうち3つ(気分が単にいらだたしい場合は4つ)が存在する.

 社会的な機能も著しく障害され,対人関係に著しい支障をきたしたり,入院が必要であったり,あるいは精神病性の特徴(幻覚や妄想)を有する.症状は,物質(乱用薬物,投薬など)や一般身体疾患(甲状腺機能亢進症など)によるものではない.

 なお,躁病エピソードを有する気分障害を双極Ⅰ型障害と呼ぶ.

【病態・病因】

 躁病エピソードや双極性障害の病態生理や病因は解明されていない.最近では,脳由来

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