診療支援
治療

月経前不快気分障害
premenstrual dysphoric disorder (PMDD)
山田和男
(東京女子医科大学東医療センター教授・精神科)

◆疾患概念

【定義・病型】

 月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)は,DSM-5において初めて,独立した疾患として「抑うつ障害群」のカテゴリーに分類され,抑うつ障害群の下位診断名の1つとして,本文中に診断基準が記載されるようになった疾患である.

 月経前以外の時期には,PMDDではないほかの女性と同様の質の高い生活ができるが,月経前の数日から2週間にわたり,抑うつエピソード患者と同様の重篤な精神症状が出現することにより,仕事(職場),学校,家庭などでの日常生活や人間関係に,大きな支障をきたしている.ただし,これらのPMDDの症状は,月経が始まるとともに,すべてがすみやかに改善し,月経のあとの1週間は,ほぼ完全に症状が消失していることが特徴である.そして,次の月経前にも,同様のPMDDの諸症状を呈する.これらのサイクルが,適切な治療を行わな

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