◆疾患概念
【定義・病型】
病的放火のとらえ方は多様である.精神障害と何らかの関連をもつ放火を病的放火と総称し,それを既存の精神障害から二次的に発生する放火と一次的な基本徴候として行われる放火(いわゆる放火症pyromania)とに分類する考え方がある一方で,ICDのように病的放火と放火症を同義とする考え方もある.
放火症は衝動に抗しきれずに放火を繰り返す障害とされ,放火癖とよばれていた.それが,2013年に刊行されたDSM-5より放火症の語訳があてられ,秩序破壊的・衝動制御・素行症群に位置づけられた.DSM-5で新設された秩序破壊的・衝動制御・素行症群とは,原書の当該冒頭において,「情動や行動の自己制御に問題」があり,かつ,「他者の権利を侵害する,および/または社会的規範や権威ある人物との間で意味のある葛藤を生むに至る行動として現れる」ことが特徴であることが明記されている.さらにこの章で収