◆疾患概念
運動症状によって定義される症候群の集まりであり,発達性協調運動症/発達性協調運動障害developmental coordination disorder,常同運動症/常同運動障害stereotypic movement disorder,チック症群/チック障害群tic disordersからなる.主な症候群別に以下に記載する.
A.発達性協調運動症
1.定義
協調運動技能の獲得や遂行が,その人の生活年齢や技能の学習および使用の機会に応じて期待されるものよりも明らかに劣っていて,生活に支障をきたしている.不器用であり,例えばはさみを使うとかボタンをかけるなどの技能の発達が遅れていたり,定型発達よりも動作がぎごちなくて手間どったりする.
2.病因・病態
環境要因としては,胎生期のアルコール曝露,早産児や低出生体重児が関連するとされる.遺伝的要因の関与も示唆されているが,明確にはなっていない.
3.疫学
5-11歳の子どもでの有病率が5-6%とされる.男性では女性よりも有病率が高い.
4.経過・予後
子どもの50-70%では青年期になっても問題が残存するとされる.成人期に,車の運転や機械の操作の習得,すばやくメモをとることなどが苦手で職業生活に影響することがある.
5.診断上の留意点
発達歴,現病歴,家族歴に加えて神経学的微細徴候(例えば,上肢伸展,閉眼,開口,提舌すると舞踏病様運動が出現)を含めた身体所見も診断の参考になる.
注意欠如・多動症attention deficit/hyperactivity disorder(ADHD)や自閉スペクトラム症autism spectrum disorder(ASD)は,鑑別対象の疾患である一方で,高率に併発する疾患でもある.
B.常同運動症
1.定義
反復し,駆り立てられているように見え,かつ外見上無目的な運動行動(常同運動)があり,生
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