診療支援
治療

認知症
Major Neurocognitive Disorder
新里和弘
(東京都立松沢病院認知症疾患医療センター・センター長)

◆疾患概念

【定義・類型】

 神経認知障害群neurocognitive disordersはDSM-5において初めて提唱された概念で,delirium,major neurocognitive disorder,mild neurocognitive disorderの3群より構成される.DSM-5は,症候に基づく操作的類型化が特徴となっているが,そのなかで症状発現が脳内の病理所見により説明がつく可能性のある疾患という意味で,neurocognitive disordersは異質であるといえる.

 「認知機能低下+生活障害」を意味する「dementia」という用語はDSM-5では用いられず(下位分類には残る),今までdementiaとよばれてきた一群が,ほぼmajor neurocognitive disorderに相当する.また,軽度認知障害などとよばれてきた一群が,mild neurocognitive disorder()に相当すると考えてよい.DSM-5においては,下位分類疾患の1つ,例えばアルツハイマー病で考えると,「mild neurocognitive disorder due to Alzheimer's disease」,あるいは「major neurocognitive disorder due to Alzheimer's disease」の2つの診断名のいずれかを選択することになる.前者は,「認知行為の軽度の障害」があり「毎日の活動において,認知欠損が自立を阻害しない」レベルであり,後者は,「実質的な認知行為の障害」を呈し,「認知欠損が自立を阻害するもの」とされている(表1).「mild」か「major」かの選択のよりどころは生活の自立度ということになるが,これは生活障害の程度を十分聴取して,診断を行うことの重要性を意味している.

 1つの疾患をその病

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