診療支援
治療

正常圧水頭症
normal pressure hydrocephalus (NPH)
桑名信匡
(東京共済病院・顧問/同院正常圧水頭症センター・センター長)

◆疾患概念

【定義】

 正常圧水頭症(NPH)とは,歩行障害,認知障害,尿失禁(古典的三徴)を呈し,脳室拡大はあるものの髄液圧は正常で,髄液シャント術によって症状が改善する症候群である.くも膜下出血,頭部外傷,髄膜炎など先行疾患の明らかな二次性と,原因不明の特発性正常圧水頭症idiopathic NPH(iNPH)とに分けられる.精神科領域で問題となるのは後者であり,本項ではiNPHを中心に述べる.

【病態・病因】

 iNPHの原因は不明である.しかし,大多数の例が高齢者で平均年齢78歳前後で,シャント術が有効なことより,その病態に脳脊髄液吸収能の低下が関与していると推測される.

【疫学】

 2004年に発行されたiNPHのガイドライン(GL)に基づいて,わが国で3件のpopulation based studyがある.possible iNPH with MRI supportの有病率は地域在住高齢

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