診療支援
治療

腎不全・人工透析に伴う精神症状
psychiatric symptoms in renal failure and dialysis therapy
菅原裕子
(熊本大学医学部附属病院・神経精神科)
西村勝治
(東京女子医科大学教授・精神医学)

◆疾患概念

 腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があり,前者は急速な腎機能低下により体液の恒常性が維持できなくなった状態を指し,可逆性の腎機能障害である一方,後者は不可逆性の腎機能低下が持続することで,体液の恒常性維持が不可能となった状態を指す.急性腎不全は,48時間以内において血清クレアチニン値が0.3mg/dL以上あるいは発症前の1.5倍以上に増加した場合,あるいは尿量が6時間にわたって0.5mL/kg/時未満に達した場合と定義されている.慢性腎不全は,血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上かつクレアチニンクリアランスが30mL/分以下と定義されており,両者ともに体液貯留による肺水腫,電解質異常,といった腎不全症候が認められる場合,腎代替療法として人工透析の導入が検討される.

 腎不全・人工透析に伴う精神症状は,「尿毒症による精神症状:身体要因が基盤となる精神症状」,「心理的・環境的・状況

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