◆疾患概念
【定義・病型】
性周期に伴う精神症状を発現させる病態とその成因は多種多様であり,確立した病型分類は存在していない.本項目では,月経前症候群premenstrual syndrome(PMS)の診断と治療について述べる.
【病因・病態】
月経周期を有するほとんどの女性が月経前に経験する何らかの身体的変調や不快気分が日常の活動に影響を及ぼすほどに重症化したものがPMSである.病因仮説として,ジヒドロプロゲステロンdihydroprogesterone(DHP)の代謝物でありベンゾジアゼピン様作用を有するアロプレグナノロンallopregnanolone(ALLO)に対するGABAA受容体の反応性低下が想定されている.
【疫学】
月経年齢にある女性の5-8%が中等度以上のPMS症状をきたす.
【経過・予後】
症状出現期間は月経周期後半の数日間-2週間であるが,多くの場合,明らかな症状は,月経