診療支援
治療

強直間代発作
tonic-clonic seizure
渡辺雅子
(新宿神経クリニック・院長)
渡辺裕貴
(国立精神・神経医療研究センター病院・精神科医長)

◆疾患概念

【定義】

 強直間代発作は継続的に筋が収縮する強直相に続いて筋収縮と弛緩を交互に繰り返す間代相が起こるものである.全身性の強直間代発作は全般性強直間代発作generalized tonic-clonic seizure(GTCS),または,全般性強直間代けいれんgeneralized tonic-clonic convulsion(GTC)とよぶ.なお,局在関連性てんかんの発作(部分発作)が進展してGTCとなった場合は,部分起始性全般化けいれんpartial-onset generalized tonic-clonic convulsion(pGTC)とよんで区別することがある.

【病態】

 強直間代発作は,はじめに大脳の神経が連続して興奮している時期(強直相)があり,それが進展して抑制性の神経活動が生じてくるようになると神経の興奮性活動(筋収縮)と抑制性活動(筋弛緩)が交互に出現するようになる(間代相)病態と考えられている.強直間代発作では一部の例外を除き患者は意識がなくなるため,脳幹部なども巻き込まれていると推測される.

【経過・予後】

 多くの場合,強直間代発作は,1-2分で自然に終了し,意識が回復するか,または後睡眠に移行する.しかし,発作のコントロールが不良な患者においては,いったん発作が終了したあとにも,比較的短時間の間に何度も同様な発作を繰り返したり,数分経過しても発作が終了せずに長時間続くことがある.けいれん発作とけいれん発作の間で意識が回復せずに発作が続く場合をけいれん重積という.長時間のけいれん重積では発作後に大脳萎縮や重大な後遺症が残ることがある.

◆診断のポイント

1)てんかんの診察では家族などからの間接的情報に依存することが多いため注意が必要である.患者がけいれんといっている場合でも,実際には意識消失発作であったり,単なる体のふるえであることがある.

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