診療支援
治療

ミオクロニー発作
myoclonic seizure
岩佐博人
(社会医療法人社団同仁会木更津病院/きさらづてんかんセンター・センター長)
兼子 直
(湊病院北東北てんかんセンター・センター長)

◆疾患概念

【定義・病型】

A.ミオクロニー発作の一般的特徴

 ミオクロニーという現象は,皮質性,皮質下性,脊髄性などさまざまな病態基盤に関連して出現する徴候であるが,ミオクロニー発作という呼称は「てんかん発作」の一型としての症状を指す(てんかん性ミオクロニー発作).てんかん発作国際分類では全般発作に分類される.

B.病型:ミオクロニー発作を呈する病態

 ミオクロニー発作という表現は症状のみを示す用語であり,特定の「疾患」を意味するものではない.ミオクロニー発作を呈する疾患の一部を表1に示したが,基盤となる病態によってそれぞれ臨床的な特徴や予後が大きく異なる.

【病態・病因】

 てんかん性のミオクロニー発作のメカニズムについては,大脳皮質と視床を巻き込んだてんかん性放電の発現が関与している可能性が基礎的な研究から示唆されている.いわゆるcorticoreticular epilepsyまたはcentrencephalic epilepsy(中心脳性てんかん)と類似の神経生理学的基盤が推定されているが不明の部分も多い.

 ミオクロニー発作を呈するてんかん症候群の分子病態としてニューロンのチャネル異常が関与しているものもある.

【頻度】

 ミオクロニー発作は,てんかん患者全体のうちの約4%に認められるといわれている.しかし,他の原因疾患の中枢神経症状として一過性あるいは持続的に出現する場合があるので(症候性),症状自体の出現頻度はより高いと考えられる.

【経過・予後】

 ミオクロニー発作は非特異的な発作であり,てんかん症候群全体として本発作を呈する割合は比較的高い.しかし,適切な抗てんかん薬antiepileptic drug(AED)を選択すれば抑制できる可能性が高いので,十分な鑑別診断を行い治療計画を立てることが重要である.

 その半面,病態の差異によってはミオクロニー発作以外の発作型や他の障害の

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