診療支援
治療

状況関連性発作
situation-related seizures
田邉卓也
(田辺こどもクリニック小児神経内科・院長(大阪))

◆疾患概念

【定義・病型】

 状況関連性発作とは,中枢神経疾患や全身疾患などの急性期に一過性にみられる発作症状で,脳機能を障害あるいは変化させ,発作の誘因となる要素がある状況においてのみ誘発される発作をいう.急性症候性発作acute symptomatic seizureとほぼ同義で,慢性的に自生性に繰り返される真のてんかん発作とは区別される.

 てんかんおよびてんかん症候群の分類(1989)によると,「特殊症候群」のなかに分類され,さらに以下のように細分類されている.①熱性けいれん,②孤発発作,あるいは孤発のてんかん重延状態,③アルコール,薬物,子癇,非ケトン性高グリシン血症などによる急性の代謝障害や急性中毒の際にみられる発作.

【病態・病因】

A.熱性けいれん

 通常38℃以上の発熱に伴って乳幼児期に生ずる発作性疾患で,中枢神経感染症,代謝異常,その他明らかな発作の原因疾患のないものをいう.家族歴が高率に陽性で体質・素因の関与がみられる.

B.アルコール関連性発作

 多くは慢性アルコール依存者にみられ,大部分はアルコール離脱後48時間以内に起こる.典型的には全般性の強直間代性発作である.閃光刺激に対して高い過敏性(光けいれん反応,または光ミオクロニー反応)を認めることがある.

C.薬物中毒

 アンフェタミン,コカイン,フェンシクリジンなどの薬物は交感神経刺激作用とともに,中枢神経刺激作用をもち,けいれんを誘発することがある.バルビタール酸,ベンゾジアゼピン,非バルビタール系鎮静催眠薬は離脱症状としてけいれん発作を起こすことがある.

D.子癇

 子癇前症(妊娠高血圧症候群)の妊婦がけいれん発作を起こした場合をいう.約半数が分娩期に起こる.

E.急性代謝障害

 低ナトリウム血症,低マグネシウム血症,尿毒症,低カルシウム血症,低血糖が重要である.

F.非ケトン性高グリシン血症

 グリシンの蓄積による先天代謝

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