◆疾患概念
【定義・重症度】
アルコール使用障害は飲酒に関連して重大な問題が生じているにもかかわらず,飲酒を続けることが本質的な特徴である.
DSMの改訂にあたり,物質関連障害には大きな変更がなされた.DSM-IVではアルコール使用障害をアルコール依存とアルコール乱用に分けていたが,DSM-5ではアルコール使用障害に統一された.診断基準は表1図に示すが,おおむねDSM-IVのアルコール乱用と依存を合わせたものになっている.項目内容の変更点として,アルコール乱用の基準に含まれていたアルコール関連の法律的問題は採用されず,ICD-10の診断基準(表2)図には含まれていてDSM-IVにはなかった飲酒欲求がDSM-5で採用された.一方,該当する診断項目数によって重症度を定めている点も,DSM-IVにはなかった点である.
改訂の理由として,①DSM-IVでは乱用と依存が階層的に区別されていたが,乱用の