◆疾患概念
【定義・病型】
神経・筋肉系の心身症として挙げうる疾患としては,自律神経系(起立性調節障害,多汗症,心因性発熱など),運動系(ジストニア,声帯けいれん,チックなど),感覚系(頭痛,耳鳴,めまい症)など多岐にわたる.それらの多くは神経・筋が関与する機能的な疾患であると同時に,緊張や心理的なストレスにより悪化することが知られ,また心理的アプローチや心理・生理学的治療法が有効な疾患でもある.
【病態・病因】
遺伝的素因を含む器質的な要因が関与する疾患,例えばDYT遺伝子群が関連するジストニアなどにおいても,心理的ストレスを契機に発症・増悪する症例があり,辺縁系と感覚運動回路の相互作用としてとらえられている.また自律神経系・感覚系の症状においては,その多くに心理的ストレスなどによる交感神経系の亢進の影響がみられる.抑うつに関連する身体症状においては,うつ症状としての感覚閾値の低下や自律神経