診療支援
治療

睡眠ポリグラフィ
polysomnography (PSG)
亀井雄一
(国立精神・神経医療研究センター睡眠障害センター・センター長)

◆検査概要

 睡眠ポリグラフ検査(PSG)は,睡眠を客観的に評価することを目的に,睡眠中に生じる生体信号を長時間にわたり記録する検査である.睡眠障害の診断や重症度判定,治療効果判定などに用いられる.夜間睡眠の評価をする終夜睡眠ポリグラフ検査overnight PSGと,日中の眠気を評価する睡眠潜時反復検査multiple sleep latency test(MSLT)がある.PSGと終夜睡眠ポリグラフ検査は,一般的には同義語として扱う.

◆適応疾患

 確定診断にPSGが必要な疾患としては,睡眠時無呼吸症候群,睡眠関連運動障害(周期性四肢運動障害),睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害など)などである.また,睡眠中の異常行動の鑑別で,睡眠てんかんが疑われる場合も実施する.不眠症や概日リズム睡眠障害は,PSGで特別な所見を認めないために適応とはならないが,鑑別目的として実施することはある.レストレスレッグス症候群もPSGで特別な所見を認めないが,周期性四肢運動障害が併存することが多いため,参考のためにPSGを実施することがある.また,睡眠時無呼吸症候群などの治療効果判定にもPSGを実施する.

 確定診断にMSLTが必要な疾患としては,ナルコレプシーや特発性過眠症などの過眠症がある.また,睡眠時無呼吸症候群の治療後の残遺眠気の評価にも実施する.

◆測定項目

 睡眠段階判定に最低限必要な測定項目は,脳波,眼球運動,オトガイ筋筋電図である.脳波は前頭部,中心部と後頭部で測定することが推奨されている.てんかんの評価時には必要な部位を追加する.心電図,呼吸センサー(鼻口気流,胸腹部運動),動脈血酸素飽和度,いびきセンサー,前脛骨筋筋電図,体位センサーなどを同時記録し,睡眠障害の評価に用いる.測定と判定は,American Academy of Sleep Medicine(AASM)による睡眠および随伴

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