【定義】
てんかん治療において,薬物療法は必須かつ基本的な手段であるが,その際に「発作」の抑制のために使用される薬物を抗てんかん薬(AED)と総称する.AEDの治療ターゲットは,「てんかん症候群」あるいはてんかん原性epileptogenesisに対する根源的な作用ではないので,てんかん性発作治療薬というニュアンスのほうが実質的である.
わが国でもいくつかの新規AEDが使用可能となり,AED療法のパラダイムは新たな展開を迎えている.このような現況を踏まえたうえで合理的薬物療法の実践のため,AEDの基礎的・臨床的なエッセンスを把握しておく意義は大きい.本項ではAEDの使用法,臨床適応,薬理学的特徴などについて記す.
【臨床薬理学的特徴】
現在,従来および新規AEDを合わせて20種類近くのAEDが認可されている.AEDは,バルビツール酸系,ヒダントイン系,ジベンゾジアゼピンおよびベンゾジアゼピン系,バルプロ酸類,サクシミド類,フェナセマイド系,スルフォンアミド系などに大別されるが,いわゆる新規AEDとしてガバペンチン薬,トピラマート薬,ラモトリギン薬,レベチラセタム薬薬,ルフィナミド薬,スチリペントール薬,ペランパネル,ラコサミド薬が使用可能となっている.
臨床では,各AEDの薬物動態学的プロフィールの特徴を念頭においた使用が重要である.主なAEDの臨床薬理学的特徴などいくつかの留意点を以下に記した(表1)図.
A.フェニトイン(PHT)
本剤のnonlinear kineticsに基づく血中濃度変動を示す.すなわち,ある程度以上の服用量を超えると半減期の延長およびクリアランスの低下が起こる.このため急激なPHT濃度の上昇が起こる.PHT薬を増量する際には,適宜血中濃度モニタリングtherapeutic drug monitoring(TDM)を行うことが望ましい.
B.フェノバルビ
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