診療支援
治療

抗てんかん薬
antiepileptic drugs (AED)
岩佐博人
(社会医療法人社団同仁会木更津病院/きさらづてんかんセンター・センター長)
兼子 直
(湊病院北東北てんかんセンター・センター長)

【定義】

 てんかん治療において,薬物療法は必須かつ基本的な手段であるが,その際に「発作」の抑制のために使用される薬物を抗てんかん薬(AED)と総称する.AEDの治療ターゲットは,「てんかん症候群」あるいはてんかん原性epileptogenesisに対する根源的な作用ではないので,てんかん性発作治療薬というニュアンスのほうが実質的である.

 わが国でもいくつかの新規AEDが使用可能となり,AED療法のパラダイムは新たな展開を迎えている.このような現況を踏まえたうえで合理的薬物療法の実践のため,AEDの基礎的・臨床的なエッセンスを把握しておく意義は大きい.本項ではAEDの使用法,臨床適応,薬理学的特徴などについて記す.

【臨床薬理学的特徴】

 現在,従来および新規AEDを合わせて20種類近くのAEDが認可されている.AEDは,バルビツール酸系,ヒダントイン系,ジベンゾジアゼピンおよびベンゾジアゼピン

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