医療費の膨大化の後押しもあり,多くの医療分野において予防や早期発見・早期治療や支援などの早期介入に対する取り組みが盛んである.精神科領域においても予防や早期介入に対する関心は高まりをみせているものの,現段階ではいわゆる一次予防については可能性を示唆するエビデンスさえ乏しい状況にある.それでも近年では,わが国から糸川,新井らの研究(Arai, et al, 2010)により,統合失調症の酸化ストレス解毒酵素であるGLO1の機能低下症例におけるビタミンB6補充がカルボニルストレス処理系の正常化をもたらし,発症予防につながる可能性が示唆されるなど,明るい兆しもみられている.海外では後述するように,発症危険症例に対してω3系不飽和脂肪酸の大量投与により,顕在発症への移行率の低下が示され,諸外国で共同研究が進められている.しかしながら発症危険状態そのものが,症候学的にも不安定で脆弱な対象であり,ア
診療支援
治療
予防・早期介入
prevention and early intervention
初出:今日の精神疾患治療指針 第2版
発行:2016年10月
収載:医学書院 医療情報サービス(2024年11月7日 掲-ID:ssc_02484-02_a025z0008)
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