◆定義
治療とは,患者の病態を改善し,健康にするため施す医療行為である.しかし,治療行為によってはある程度の身体的な侵襲が予測される場合があり,治療には一定のリスクがつきまとう.こうした場合に患者が治療を受けるかどうかは最終的に患者に自己決定権があるとされている.また,患者が自己決定権を行使できるようにするためには,医療者側が治療に対する情報をわかりやすく伝え,患者が十分に理解したうえで治療に対する意思を決定してもらう,いわゆるインフォームド・コンセントが基本にある.これは患者側に同意能力が備わっていることが前提にあり,こうした条件が整わない場合は法的な代諾者の同意に基づいて治療が行われているのが現状である.しかし,同意のない治療行為がすべて強制治療に当たるわけではない.強制治療とは患者本人の意思に反し,他者の意見を優先して導入するのが本来の強制治療といえる.患者の不利益を防ぐためといった