診療支援
治療

気道異物
foreign bodies in the airway
福原信一
(兵庫県立淡路医療センター小児科・部長)

●病態

・異物が気道に停留するために,気道狭窄・閉塞や気道炎症をきたす.

・気管支異物は,数日以上の無症状期を経て,気道浮腫や異物の膨張により無気肺・肺炎をきたす場合がある.途中経過の症状がなく・身体所見が正常であっても気道異物を否定できない.

・異物が声門部にあれば,嗄声を生じうる.

・チェックバルブは,呼気時に気管支が収縮し吸気を排出できないために生じ,胸部X線検査で患側は過膨張となる.

・乳幼児や脳性麻痺などの児に生じやすく,診断はしばしば遅れる.問診で,食事中に急に咳き込み始めた場合は気道異物を疑い,原則的に気管支鏡の適応である.気管支喘息,クループ,肺炎疑いの症例でも,治療反応に乏しい・経過が合わない場合などは気道異物を鑑別診断にあげる.

●治療方針

 窒息・窒息しかかっている場合は救命処置をすみやかに開始する.気道異物を疑う症例では,すみやかな気管支鏡検査による確定診断と異物の摘出が基本である.専門医に引き継ぐまでモニタリング・酸素投与などを病状に応じて行う.

A.気道異物に対する救命処置

a.意識があり,声が出るまたは咳をしている場合 咳を続けるように促す.液状物の場合は,側臥位,吸引を行う.

b.意識はあるが,声が出ないか強い咳ができない場合 年長児では,腹部突き上げ〔Heimlich(ハイムリック)法〕,背部巧打,胸部突き上げを実施する.乳児では,肋骨弓下に肝臓があるため腹部突き上げは禁忌であるため,乳児では頭部を下げて背部叩打と胸部突き上げを行う.盲目的に指で掻き出すことは,異物を奥に押し込む危険性がある.後述c.の処置は熟練者のオプションである.

c.意識(反応)がなくなった場合 直ちに胸骨圧迫から蘇生処置を開始する.

 異物の除去には,喉頭鏡などの視認下にマギール鉗子や強い陰圧での吸引を用いる.

B.気管・気管支異物

 胸部X線検査の気道異物の感度は不十分である.気道異物の確定

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