●病態
・急性喉頭蓋炎は主にインフルエンザ桿菌(Hib)感染による急激な喉頭蓋周囲の腫脹から上気道の狭窄をきたす疾患である.症状が進行すれば上気道狭窄より挿管困難をきたし,生命の危機に瀕するため対応には細心の注意を払う必要がある.
・北米ではHibワクチンの普及により5歳以下の罹患頻度が減少したとの報告があるが,わが国でも同様に今では遭遇する機会が非常にまれになった.
・臨床症状では突然の高熱および活気不良の他,上気道狭窄症状を自ら緩和しようと両手を膝に着き下顎を前方に突き出した姿勢(tripod position)や匂いを嗅ぐ姿勢(sniffing position)をとる.咽頭痛や流涎,嗄声,吸気性喘鳴を認めるが,通常クループ症候群のような犬吠様咳嗽を呈することはなく,鑑別に有用な所見である.
●治療方針
本症を疑えば上気道狭窄の(呼吸困難の)程度を評価し,toxicな印象があればタイミングを