診療支援
治療

四肢外傷(止血法)
extremity injuries
池田太郎
(自治医科大学附属さいたま医療センター小児外科・准教授)

●病態

・外傷とは,外力(機械的,物理的,化学的)により生じた組織・臓器の損傷を指し,疾患としては幅広く,程度もさまざまである.四肢外傷には創傷,打撲,捻挫,脱臼・骨折,熱傷などがあり,日常生活で最も多く遭遇する外傷は皮膚,軟部組織損傷,いわゆる創傷である.創傷には切創,裂創,割創,擦過創(傷),挫創(傷)刺創,剥脱創,銃創,咬創,爆創,轢創,熱傷などがある.

・小児における四肢外傷の特徴としては,①受傷機転が不明なことがある,②症状など訴えが不明瞭なことがある,③保護者からの虐待が原因のことがある,④外力に比して骨折の頻度が高い,⑤体重あたりの循環血漿量が少ないため出血があれば早期対応を要する,などがあげられる.

●治療方針

 受傷機転などを聴取し,骨折などの深部損傷や他部位の外傷にも留意し,全身状態を把握しながら外傷部位の観察を行う.

 出血を認める場合には,まずは患肢を挙上し局所の直接圧迫止血を行う.この際に出血が動脈性か,静脈性,毛細血管性であるかを確認しながら,必要な物品の準備と止血可能かの判断を行う.

 止血法には,直接圧迫止血法,間接圧迫止血法があり,最終手段として緊縛止血法(止血帯法)がある.また,止血法を行う際にはグローブ(グローブがない場合にはビニール袋などを代用)をするなど血液感染防止に留意する.

A.直接圧迫法

 止血法の基本であり,最も簡単でしかも確実な止血効果を得られる.滅菌ガーゼなどを創部に当て,局所を強く圧迫する.適切に圧迫止血できない場合にはガーゼを介さずに直接手指で出血部位を圧迫するほうが効果的なことがある.広範囲の場合には軟膏ガーゼを貼付して手掌や弾性包帯などで全体を圧迫する.圧迫は5分間以上を行い,止血の確認をする.止血しにくい場合にはソーブサンなど止血剤の貼付を行い圧迫すると,静脈性出血,毛細血管性出血ではほとんど止血可能である.

B.間接圧迫法

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