●病態
・「JRC蘇生ガイドライン2015」では,医療者用BLSアルゴリズム・心停止アルゴリズムともに小児用と成人用が統合された.成人に比し小児の心停止は呼吸原性が多く,低年齢ほどその傾向が強い.
・小児が心停止に至る前に治療が開始された場合の救命率は70%以上と報告され,呼吸障害とショックを早期に発見し迅速に対応することがきわめて重要である.
●治療方針
A.一次救命処置(BLS)
1.心停止の判断
まず気道確保を行い呼吸状態の観察を行う.頭部後屈-顎先挙上法が合理的だが,呼吸の有無確認に手間取って心肺蘇生(CPR)の開始が遅れてはならない.刺激に反応なく,呼吸がない/死戦期呼吸の場合には心停止と判断し直ちにCPRを開始する.頸動脈や大腿動脈,乳児では上腕動脈の拍動を確認するが,確信がもてない場合や脈拍が60回/分未満で皮膚蒼白・チアノーゼなど循環不全の徴候を認めるときにはCPRが必要である.
2.CPR開始手順
成人と同様にCPRは胸骨圧迫から開始するが,CPRの一部として適切な人工呼吸の重要性を銘記する.人工呼吸の開始が困難な場合には胸骨圧迫だけでも実施する.
乳児・小児を問わず,胸骨圧迫は胸骨の下半分を胸郭前後径(胸の厚さ)の約1/3の深さで,かつ100~120回/分の速さで実施する.毎回の胸骨圧迫のたびに胸壁がもとの位置に戻るように圧迫を解除する.人工呼吸用デバイスの準備ができ次第,人工呼吸を開始する.胸骨圧迫と人工呼吸は救助者が1人の場合は30:2,複数の場合には15:2で行う.
3.自動体外式除細動器(AED)
小児用と成人用のモード切り替えやパッドの使い分けの目安は,就学児(およそ6歳)以上か以下である.成人/小児の切り替えできない場合や成人用パッドしかない場合には,乳児・幼児に対してもそのまま使用してよい.体格が小さいので,例えば胸部前面と背面に貼るなどパッド同士が近す
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