輸血療法は今日の確立されたシステムにおいて,単に薬物療法や手術治療の一部と誤解してしまうが,長い歴史と膨大な経験のうえに今日の輸血療法があることを理解されたい.輸血に用いる血液製剤は日本赤十字社の献血事業を通じて供給され,製剤管理,適合血選択,患者への適切な輸血,合併症対策,輸血後感染症管理などが一連の医療である.厚生労働省により「輸血療法の実施に関する指針」および「血液製剤の使用指針」が示されているほか,日本輸血・細胞治療学会による各種ガイドラインを参照されたい.
A.血液製剤の種類と使用指針
1.赤血球製剤
第一義的な目的は,末梢循環系へ十分な酸素を供給することにあるが,児の全身状態や活動性,症状の有無のほか,貧血進行の程度などを考慮に入れて判断する.一般状態が安定している場合はHb 7g/dLを赤血球輸血の目安とし,呼吸循環動態が不安定な場合にはHb 10g/dL程度を目安とする.急速