診療支援
治療

血漿交換療法
plasma exchange(PE)
井手健太郎
(国立成育医療研究センター集中治療科)

A.概要・原理

 血漿交換療法(PE)は,血液を血球成分と血漿成分に分離し,血漿成分を新鮮凍結血漿(FFP)やアルブミンなどと置換することで病因物質(自己抗体,免疫複合体など)の除去を行う治療法である.急性肝不全に対しては,FFPを用いたPEにて肝性脳症起因物質の除去に加え,大量の凝固因子補充を行う.

B.適応疾患

 以下に保険適用がある疾患の一部を示す.疾患によって保険算定基準の実施回数が異なるので注意が必要である.

 a)肝疾患:肝炎,肝不全

 b)腎疾患:巣状分節性糸球体硬化症

 c)膠原病:関節リウマチ,全身性エリテマトーデス

 d)神経疾患:重症筋無力症,Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群,多発性硬化症

 e)血液疾患:血栓性血小板減少性紫斑病,溶血性尿毒症症候群,血友病

 f)皮膚疾患:天疱瘡,中毒性表皮壊死症,Stevens-Johnson(スティーブンス・ジョンソン)症候群

 g)その他:川崎病,薬物中毒

C.物品・機器・薬剤

1.ブラッドアクセス

 年齢/体重に適したダブルルーメンカテーテルを右内頸静脈に超音波ガイド下に挿入し,カテーテル先端を右房近くまで深く留置することが多い(表1).挿入長の目安は,右内頸静脈:身長/10+2cm,左内頸静脈:身長/10+3cm.

2.膜型血漿分離器

 体重に適したサイズを用いる.体重30kg未満では膜面積0.2m2(充填量25mL),体重30kg以上では0.5m2(充填量55mL)を使用する.分離器と血液回路の充填量が患者循環血液量の10%を超える際は,濃厚赤血球を充填する.

3.血液浄化装置

 血液流量が低流量から設定可能で,置換液・ろ過液の計測を正確に行える機種が望まれる.

4.抗凝固薬

 通常はヘパリンを使用し,患者血液のACT(activated clotting time)を220~250秒程度(活性剤:ガラス小粒)で管理する

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