診療支援
治療

腹膜透析
peritoneal dialysis(PD)
西崎直人
(順天堂大学医学部附属浦安病院小児科・准教授)

A.腹膜透析(PD)とは

 カテーテルを通じて腹腔に透析液を貯留することで,尿毒素や余分な水分を除去する腎代替療法である.血液中の尿毒素や余分な水分は腹膜(半透膜)を介して透析液に移行させる.それを1日につき複数回入れ替えることによって血液を浄化する.主に濃度勾配によって溶質が移動する拡散と,浸透圧差によって水が移動する限外ろ過の2つの原理からなる.PDは緩徐な透析であることから,循環動態は安定しており心負荷が少ない.小児領域では急性血液浄化目的の急性PDと,乳児期以降の慢性腎不全に対する維持透析としての慢性PDがある.

B.代表的なPD

1.CAPD(continuous ambulatory peritoneal dialysis,持続携行式腹膜透析)

 用手的に透析液交換を行う方法である.特別な機械は不要であり,古典的かつ基本的な治療形態である.

2.APD(automated peritoneal dialysis,自動腹膜透析)

 機械を使って自動的に透析液の交換を行う方法である.小児ではAPDが約80%を占める.

3.NPD(nightly peritoneal dialysis,夜間腹膜透析)

 就寝中に機械を使って自動的に複数回の透析液交換を行う.日中に腹腔内には透析液を貯留しない.

4.CCPD(continuous cycling peritoneal dialysis,持続周期的腹膜透析)

 夜間就寝中に機械を使って自動的に複数回(4~6回)の透析液交換を行い,日中にも腹腔内に透析液を貯留しておく.

C.導入基準

 慢性腎不全の児に対して腎移植を前提に導入する.明確なPD導入基準は設けられていないが,推定腎糸球体ろ過率(eGFR)15mL/分/1.73m2前後が1つの目安となる.一方,成長障害など身体症状を伴う場合はeGFR値が保たれていても導入を検討する.

 導入に際しての絶

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