診療支援
治療

小外科
outpatient surgical procedures
山内勝治
(近畿大学奈良病院小児外科)

A.外傷(切創・挫創)に対する縫合処置

 皮下組織より深部に及ぶ切創・挫創に対し創縫合を行う.

 縫合法にはtape固定法と結紮糸やstapleを用いた皮膚縫合がある.比較的清潔で浅い傷(血流のよい小児の顔面損傷など)にはtape固定法が適しているが,創部の安静が保てない部位(眼瞼,関節部など)や浸出液が多い創にはtape固定法は適さず,皮膚縫合を考慮する.

 頭部外傷で特に頭髪部の創傷では治癒後の創瘢痕が目立たないため,stapleによる創縫合が適している.ただし感染創では洗浄を行い,咬創(犬・猫など)など感染リスクの高い外傷では開放創とする.また顔面や会陰部外傷など受傷部位によっては全身麻酔下での処置が望ましい場合があるため,小児外科・形成外科・外科へのコンサルトが必要である.

 創癒合が完成すれば,なるべく早期の抜糸(stapleでは抜鈎)を目指す.創傷治癒はおおむね約7日間を要するため,抜糸時期もこの頃に行われることが多い.しかし緊張や荷重のかかる下肢や足趾では少し遅らせる.さらに創感染がある場合には創傷治癒遷延がみられるため,創状態に応じて抜糸する.

1.処置の実際

 十分な局所麻酔下に縫合処置を施行する.幼小児や長時間の縫合処置が必要な場合は静脈麻酔を併用することもあるが,モニター監視下に気道確保準備をしたうえで行う.指部など皮下組織に余裕がない部位では伝達麻酔を行う.

 縫合の前に,損傷の程度,腱損傷,主要神経・脈管損傷の有無を観察する.これら脈管や腱損傷を認める場合には専門医にコンサルトする.

 受傷部を十分に洗浄後,挫滅組織や異物があれば可及的に除去し,皮下組織からの出血に対しては圧迫止血処置を行う(圧迫処置で止血が得られない場合には外科へコンサルトを考慮).

 縫合糸のサイズは損傷部位,損傷程度,縫合部の緊張の程度から選択するが,5-0~3-0をサイズ選択することが多い.

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