診療支援
治療

新生児の人工換気療法
mechanical ventilation in newborn infants
長谷川久弥
(東京女子医科大学東医療センター新生児科・教授)

 人工呼吸療法の進歩は新生児医療の分野でも大きな効果をもたらしている.高頻度振動換気(HFO:high frequency oscillation)など,新生児領域で成人領域に先がけて発展してきた人工換気療法もある.一般の人工換気療法でいえば,成人領域では早くから取り入れられていた患者の自発呼吸に合わせて人工呼吸を行うPTV(patient triggered ventilation)が,新生児領域でも広く用いられるようになった.また,高流量鼻カニューレ(HFNC:high flow nasal cannula)などの新しい呼吸管理法も普及している.

A.持続陽圧呼吸法(CPAP:continuous positive airway pressure)

 呼吸障害のある児では呻吟がみられることがある.これは児が呼気時に声帯をせばめ,肺胞が虚脱するのを防ぎ,機能的残気量を増やそうとしている自己防衛反応である.このことを臨床的に応用し,持続的に陽圧を負荷する方法がCPAPである.

 CPAPを行うことにより,①動脈血酸素化の改善,②機能的残気量の増加,③無呼吸発作の減少,④気道保持,などが期待できる.CPAPの施行法としては,鼻呼吸を利用したnasal prongによるnasal CPAP(NCPAP)と,気管挿管によるendotracheal CPAPとがある.NCPAPは気管挿管を回避できることから,気管挿管に伴う気道感染や喉頭浮腫,声門狭窄などの合併症予防の意味からも利点がある.

B.高流量鼻カニューレ(HFNC)

 高加湿,高流量のガスを鼻カニューレから供給することにより,上気道死腔のwash outによる換気補助,軽度の持続陽圧効果が期待できる.高加湿ガスのため,気道粘膜に対する損傷も少なく,NCPAPに比較し装着しやすいという利点もある.

C.間欠的強制換気(IMV:inter

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