治療のポイント
・NCPR(neonatal cardiopulmonary resuscitation)がわが国の標準的な新生児蘇生法であり,NCPR2015が最新版である.
・NCPRではアルゴリズム(図1図)に則って評価と処置を進めていく.
・新生児蘇生では呼吸の確立が最も重要で,有効な呼吸を認めない児では人工呼吸を生後60秒以内に開始する.
・有効な人工呼吸を行っても高度な徐脈が続く場合に,胸骨圧迫と人工呼吸を連動して行う.
・蘇生処置の間も体温維持に留意する.
●病態
・胎児期からの低酸素虚血に加え,出生後に有効な呼吸が開始されないと低酸素状態がさらに悪化し,新生児仮死が重症化する.
・出生直後の児の約10%は蘇生の初期処置を,約3%は人工呼吸を,約2%は気管挿管を,0.1%の児は胸骨圧迫や薬物投与を要する.
・一次性無呼吸は軽度の低酸素によって呼吸が抑制された状態であり,心拍数や血圧は保たれ,気道開通や刺激によって呼吸は開始する.低酸素が進行するとあえぎ呼吸となり,重度の低酸素状態では二次性無呼吸となる.その場合,血圧は低下して高度の徐脈となり,呼吸開始のためには人工呼吸が必要となる.
●治療方針
NCPRアルゴリズム(図1図)に則って蘇生処置を行う.
蘇生の初期処置に対する反応を心拍数と呼吸の有無で評価し,心拍数が100/分未満か有効な自発呼吸を認めない場合には人工呼吸を開始する.
SpO2モニターを右手(動脈管前性の酸素飽和度を評価する目的)に装着し,心電図の使用も検討する.
初期処置後に努力呼吸と酸素化不良を認めた場合は,持続的気道陽圧(CPAP:continuous positive air way pressure)かフリーフロー酸素投与を行う.どちらか片方のみの場合は,児の状態を継続して評価する.
蘇生処置の間,体温維持(36.5~37.5℃)には常に注意する.早産児の
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