診療支援
治療

新生児慢性肺疾患
chronic lung disease of neonates
諫山哲哉
(国立成育医療研究センター・周産期・母性診療センター新生児科・診療部長)

●病態

・新生児の慢性肺疾患は,気管支肺異形成ともよばれ,早産児(多くは在胎32週未満)に生じる肺障害で長期に酸素投与や呼吸補助が必要となる疾患である.

・病因はさまざまで,早産児の肺の未熟性が基礎にあり,出生前後の感染症による肺の炎症性障害,出生後の人工呼吸器管理による呼吸器関連性肺障害,高濃度酸素投与による肺の酸素障害などにより生じる.

・修正36週以降も酸素投与・呼吸補助が必要な呼吸障害がある場合に,慢性肺疾患と診断される.

・通常は確定診断される修正36週以前に,生後2~4週頃には慢性期の呼吸障害が明らかになってくることが多く,慢性肺疾患の前駆段階(evolving CLD)とよばれる.

●治療方針

 急性期から亜急性期の慢性肺疾患の前駆段階で,適切な呼吸管理や薬物治療を行うことにより,予防に努めることが大切である.

A.呼吸管理

 急性期に新生児呼吸窮迫症候群がある場合,早めに肺サーファクタント(サーファクテン)投与を行う.

Px処方例

サーファクテン気管注入用 1回120mg/kg 気管内投与

 急性期も慢性期も肺に優しい呼吸管理を行うことが大切で,肺の過膨張を避け,過剰な気道内圧を避ける一方で,無気肺を生じないようにし,酸素投与は必要最小限にするように心がける.

 気管挿管チューブを介しての侵襲的人工呼吸器管理は,人工呼吸器関連性肺障害を生じうるため,人工呼吸器管理は必要最小限に留める.そのためには持続陽圧呼吸(CPAP)などの非侵襲的呼吸器管理による呼吸サポートを使用することが有用である.侵襲的人工呼吸器管理が必要な場合も,高頻度振動換気法や容量式間歇的陽圧換気などの換気様式を用いることで肺の障害を軽減することが可能である.

B.薬物療法

 肺浮腫による呼吸障害に対しては利尿薬の投与が有効であるが,長期的な有効性は証明されておらず,効果は一過性のことが多い.

 カフェインは自発呼吸を促

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