診療支援
治療

新生児黄疸
neonatal hyperbilirubinemia
丸尾良浩
(滋賀医科大学小児科学・教授)

治療のポイント

・核黄疸(ビリルビン脳症)を防ぐために,早期診断・早期治療が重要である.

・東アジアには新生児黄疸をきたしやすい遺伝的素因がある.

・早産児を含め治療基準に従い診療を行う.

●病態

・生後2,3日以降に高ビリルビン血症に伴い皮膚の黄染がみられる.日齢4~5をピークに1~2週で消失する.多くは治療の必要はないが(生理的黄疸),一部は著しい高ビリルビン血症をきたし,核黄疸(ビリルビン脳症)の危険性があり重篤な後遺症を残す場合があるため,適切な高ビリルビン血症の評価と治療が必要になる.仮死,多血,薬剤,感染,溶血性疾患,低出生体重など,黄疸を増悪させる因子には注意が必要である.

・日本人を含む東アジアではビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子多型UGT1A1*6(c.211G>A,p.G71R)が存在し,これがこの地域に新生児高ビリルビン血症の発生頻度が高い原因の1つである.

・超早産児においては,これまでの治療によってもビリルビン脳症(核黄疸)の発生がみられ,今後治療ガイドラインの策定が必要である.

A.新生児高ビリルビン血症(病的黄疸)への評価・診断

・病的な状態と考えるのは,生後24時間以内の顕性黄疸,著しいビリルビン値の上昇,黄疸の遷延性である.

1.経皮的ビリルビン値測定

・新生児高ビリルビン血症のスクリーニング:経皮黄疸計で異常が認められれば血清ビリルビン値の測定を行う.

2.血清ビリルビン値の測定

・新生児期はほとんどが非抱合型のため,総ビリルビン値の測定のみで評価ができるが,閉塞性黄疸などの鑑別を兼ねて直接型ビリルビンの測定も必要である.血清ビリルビン値の評価は日齢,出生時体重,合併症により異なるため,光線療法の適応基準,交換輸血の適応基準(中村ら)を参考にして行う.2017年に早産児のための新しい治療基準(森岡ら)が提案されている.

3.アンバウンド

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