診療支援
治療

新生児のウイルス感染
viral infection in newborn
大木康史
(桐生厚生総合病院小児科・診療部長(群馬))

Ⅰ.単純ヘルペスウイルス(HSV)

●病態

・分娩時垂直感染と分娩後の水平感染により新生児期に発症する.

・死亡率の高い全身型,生命予後はよいが後遺症の多い中枢神経型,まれに脳へのHSV侵入を伴う皮膚・眼・口型(表在型)の3種類に分類され,すべての病型で治療が必須である.さらに中枢神経再発予防のため6か月の経口投与を行う(保険適用外).

・診断は水疱内容物・咽頭拭い液・脳脊髄液などからのウイルス分離,PCR法によるHSV DNAの検出による.

●治療方針

 疑い段階からの十分量のアシクロビル(ゾビラックス)投与が必要である.投与終了後の再発はそのつど再治療を行う.

A.急性期治療

1.全身型,中枢神経型

Px処方例 ➊終了後に➋を行う.

➊ゾビラックス注 1回20mg/kg 1日3回 点滴静注 3週間(ただし脳脊髄液HSV DNAが陰性化するまで延長あり)

➋ゾビラックス顆粒 1回300mg/m2(成分量として) 1日3回 6か月間

2.表在型

Px処方例 ➊終了後に➋を行う.

➊ゾビラックス注 1回20mg/kg 1日3回 点滴静注 2週間

➋ゾビラックス顆粒 1回300mg/m2(成分量として) 1日3回 6か月間

B.再発時治療

 中枢神経再発はA.1.と同じに治療する.

Ⅱ.サイトメガロウイルス(CMV)

●病態

・経胎盤感染による先天性CMV感染症と,主に超早産児が母乳や輸血から感染する後天性CMV感染症がある.前者は胎児発育不全,小頭症,網膜脈絡膜炎,聴覚異常,脳画像異常,肝脾腫,胆汁うっ滞,血小板減少症などを伴う症候性と,症状のない無症候性に分けられる.

・先天性CMV感染症の診断は生後3週間以内の尿からのCMV DNA検出による.生後3週以後乾燥臍帯,乾燥ろ紙血を用いる方法もあるが検出率は劣る.

●治療方針

 症候性先天性CMV感染症では,活動性病変の沈静化と長期予後(聴力および精神運動発達)の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?