●病態
・成長障害,発達遅滞,てんかん,先天性心疾患,真っすぐな眉毛などの特徴的顔貌を主症状とする.5,000~10,000出生に1人の頻度で発症し,男女比は1:2と女児に多い.
・1番染色体短腕端部(1p36)領域の部分欠失が原因であり,約半数が端部欠失,ほかに中間部欠失,染色体再構成,派生染色体に由来する.欠失は多くの場合G分染法では検出されず,1pサブテロメア領域特異的プローブを用いたFISH法が診断に有用である.一部の微細欠失例ではマイクロアレイ染色体検査で診断が可能な場合がある.
・鑑別疾患としてPrader-Willi(プラダー・ウィリー)症候群やAngelman(アンジェルマン)症候群などがあげられる.
●治療方針
根本的な治療法はなく,合併症に対する対症療法と総合的な療育支援が中心である.
A.成長障害,摂食困難
成長障害はほぼ全例に認められ,筋緊張低下や口蓋異常に伴う摂食困難のため経管・胃瘻栄養を要する場合がある.摂食の改善に伴い幼児期以降に肥満に進展する例があり,長期的な管理が必要である.
B.発達遅滞
全例で精神運動発達遅滞を伴い,約半数に常同性などの行動障害を認める.7歳までに独歩が可能な例は約25%である.知的障害の程度は多くが重度であるが,成長に伴いサイン言語などを用いた意思疎通が可能な例も存在する.早期療育による発達支援が重要である.
C.てんかん
ほぼ全例で脳波異常,約半数にてんかん発作を認める.部分発作から点頭てんかんまでさまざまであり,発作型に合わせた治療を選択するが一部に治療抵抗性を示す例も存在する.
D.心疾患
心房中隔欠損症,心室中隔欠損症などのほか,拡張型心筋症や心筋緻密化障害を合併する.複雑心奇形はまれであり,根治術が可能な例も多いとされる.
E.眼科・耳鼻科疾患
斜視,屈折異常や感音性難聴の合併が多い.発達予後への影響を考慮し,専門診療科による
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