診療支援
治療

Williams症候群
Williams syndrome
高野亨子
(信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター・講師)

●病態

・Williams(ウィリアムズ)症候群は,大動脈弁上狭窄を中心とした心血管病変,特徴的顔貌(上眼瞼膨満,厚い口唇など),知的障害,特徴的な認知特性,高カルシウム血症などの内分泌異常,成長障害,結合組織異常などを特徴とした症候群である.

・エラスチン遺伝子(ELN)を含む7番染色体7q11.23領域の微細欠失により発症する隣接遺伝子症候群であり,確定診断はFISH法で同領域の欠失を検出する.

●治療方針

 以下の合併症に留意し,各診療科と連携しフォローアップしていく(「先天性異常疾患の年齢別診療の手引き」https://raredis.nibiohn.go.jp/malformation/参照).

A.心血管病変

 あらゆる動脈の狭窄をきたす可能性がある.約75%に大動脈弁上狭窄がみられ,20~30%に外科的修復を要する.乳幼児期に高頻度に末梢性肺動脈狭窄症を認める.冠動脈や腎動脈狭窄,高血圧,QT延長の合併もみられる.突然死や麻酔・鎮静時の心停止などの有害事象の報告があり,注意する必要がある.

B.認知・行動・性格特性

 通常軽度の知的障害を有する.言語能力に優れるが,視空間認知能力が低い.過度の人懐こさ,注意欠陥や不安障害の合併もみられる.各種リハビリテーション介入や学習面の支援が必要である.

C.内分泌異常

 特発性高カルシウム血症の合併を15~50%に認め,易刺激性,嘔吐や便秘を呈する.水分やカルシウム摂取量の調節が必要なことがある.持続する高カルシウム尿症では腎石灰化や腎機能のフォローが必要である.甲状腺機能低下症,思春期早発症,若年成人で耐糖能異常を呈することがある.

D.成長障害

 成長障害および乳幼児期の摂食障害による体重増加不良を認める.

E.結合組織異常

 嗄声,鼠径・臍ヘルニア,腸・膀胱憩室,直腸脱,関節拘縮や弛緩,軟らかく弛緩した皮膚を認める.

F.遺伝カウンセリング

 本

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