●病態
・グルコーストランスポーター1(Glut1)欠損症は,脳活動のエネルギー源であるグルコースが中枢神経系に取り込まれないことで起こる疾患である.
・Glut1は脳の毛細血管内皮や赤血球膜などに存在し,血液脳関門におけるグルコース輸送を行っている.この蛋白の機能低下により慢性的脳内エネルギー不足を生じ,神経症状が引き起こされる.
・ケトン食療法が有効なため早期診断が重要である.原因不明のてんかん,発達遅滞,失調,不随意運動などがみられ,特に運動後や空腹時に症状が増強する患児では本症の鑑別を検討する.
・一方で軽症例では,特発性全般てんかんと診断される例や労作誘発性の不随意運動が主体で,発達遅滞は目立たない例もある.
●治療方針
まず本症を疑うことが診断・治療の第一歩である.診断のための検査には以下のものがある.
A.髄液検査
血糖に比べて髄液糖の低値がみられる.空腹時髄液糖<40mg/dLまたは髄