診療支援
治療

ホモシスチン尿症
homocystinuria
大浦敏博
(仙台市立病院・臨床検査科)

 ホモシスチン尿症は,メチオニン(Met)の代謝産物であるホモシステイン(Hcy)が体内に蓄積するアミノ酸代謝異常症で,シスタチオニンβ合成酵素(CBS:cystathionine β-synthase)欠損によるⅠ型,コバラミン代謝異常によりMet合成酵素活性が低下するⅡ型,5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR:5,10-methylenetetrahydrofolate reductase)欠損によるⅢ型に分類される.Ⅱ型に関しては「ビタミン代謝異常」()参照.

Ⅰ.ホモシスチン尿症Ⅰ型(CBS欠損症)

●病態

・CBSの活性低下により高Hcy血症,高Met血症をきたすアミノ酸代謝異常症で,新生児マススクリーニングの対象疾患である.大量のビタミンB6の投与によりHcyが低下するビタミンB6反応型が存在する.

・主な臨床症状は①眼症状(水晶体亜脱臼),②骨格異常(マルファン症候群様体型),③血栓症(肺塞栓,脳血栓塞栓症),④中枢神経系障害(知能障害)などである.詳細は「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019」(日本先天代謝異常学会)参照.

●治療方針

A.食事療法

 Met除去粉乳(S-26)を用いたMet制限食を開始し,血中Met値を1mg/dL(67μmol/L)以下にコントロールする.発育に必要なMetは母乳,一般調製粉乳,離乳食などから摂取し,不足分の栄養素,エネルギーをS-26で補給する.

 治療乳S-26および「改訂2008食事療法ガイドブック」は特殊ミルク事務局より入手可能である(http://www.boshiaiikukai.jp/milk.html).

B.ビタミンB6

 B6反応型の診断は生後6か月頃に行う.普通食に変更後,ピリドキシン塩酸塩原末40mg/kg/日を10日間投与し,効果があれば漸減,有効最小維持量を決定する.

C.ベ

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