●病態
・ライソゾーム酵素の1つである酸性αグルコシダーゼ(GAA:acid alfa glucosidase)の先天的な欠損により,全身の筋肉の筋力低下をきたす常染色体劣性遺伝性疾患である.
A.病型分類
・発症時期と重症度により乳児型と遅発型に分類される.
・乳児型Pompe(ポンペ)病は生後6か月までに発症する.骨格筋の筋力低下だけでなく,心筋の筋力低下に伴う心不全症状が特徴的である.
・遅発型は,生後6か月以降に発症する.発症時期により小児型と成人型に分類されることもある.呼吸筋など近位筋優位の筋力低下が主な症状である.心筋症状は比較的まれである.
B.発症のメカニズム
・ライソゾーム酵素GAAの欠損により,分解できないグリコーゲンが,ライソゾーム内外に過剰蓄積し,続発するオートファジーの障害により筋組織の破壊を生じる.
・乳児型は急激に進行し,無治療の場合は,2歳までに死亡する重篤な疾患である.
・遅発型は,乳児型より病態の進行は遅いが,骨格筋や呼吸筋の筋力低下をきたす.無治療の場合は,発症後数年で死亡する.
C.早期発見の方法
・後述する酵素補充療法が利用可能となり,Pompe病の生命予後は著しく改善した.しかし酵素補充療法は,病態の進行した症例では,その効果は限定的である.
・乾燥ろ紙血サンプルを用いた早期発見のためのハイリスクスクリーニングや新生児スクリーニングの導入が進んでいる.
・早期発見のポイントは,肢体型筋ジストロフィーに類似する原因不明の筋力低下,持続するCK中等度高値,進行する側弯症,早朝の頭痛などである.
●治療方針
診断確定後は,できるだけ早く酵素補充療法を開始する.
Px処方例
マイオザイム薬注 1回20mg/kg 2週間に1回 点滴静注
■患児・家族説明のポイント
・本疾患は常染色体劣性遺伝の単一遺伝性疾患のため遺伝子診断が可能である.症状と酵素診断で疾患が強く疑われたとき
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