●病態
・細胞内小器官であるペルオキシソームに存在するABCD1蛋白をコードするABCD1遺伝子の変異によって発症する,X連鎖性の遺伝性疾患である.中枢神経系の脱髄による神経症状と副腎不全を呈する疾患である.
・発症時期,症状などにより小児大脳型,思春期大脳型,成人大脳型,adrenomyeloneuropathy,小脳脳幹型,アジソン型,女性発症者などに分かれる.
・頻度が高く,小児科医がかかわる可能性の高いのは小児大脳型であり,3~10歳で性格の変化,行動の変化,視力障害,聴力障害,知能障害,歩行障害などで発症し,無治療であれば数年で寝たきりになる.
・ABCD1蛋白はペルオキシソーム内への飽和極長鎖脂肪酸CoAの輸送にかかわっているため,血清の極長鎖脂肪酸が上昇し,これを証明することで診断に結びつく.
●治療方針
A.ロレンツォオイル
6~8週間投与すると血中の極長鎖脂肪酸は低下する.しかし「副