●病態
・先天性甲状腺機能低下症は,何らかの原因により,先天的に生体に必要な甲状腺ホルモン作用が不足した状態である.頻度は約4,000出生に1人である.
・重症例では治療開始の遅れによって精神運動発達に大きな影響を及ぼすが,治療により予後が改善する.そのため新生児マス・スクリーニングの対象疾患となっており,「先天性甲状腺機能低下症マス・スクリーニングガイドライン(2014年改訂版)」(日本小児内分泌学会)が出されている.
●治療方針
新生児マス・スクリーニングあるいは臨床症状から先天性甲状腺機能低下症を疑った場合,TSH・FT3・FT4の血清濃度測定により診断を行い,甲状腺ホルモン補充療法開始の判断を優先する.
また治療開始前に,臨床症状チェックリスト項目の有無の確認(遷延性黄疸,便秘,臍ヘルニア,体重増加不良,皮膚乾燥,不活発,巨舌,嗄声,手足の冷感,浮腫,小泉門開大,甲状腺腫),身体計測,X