治療のポイント
・原因としてバセドウ病が最も多いが,ほかの甲状腺中毒症を呈する疾患との鑑別を忘れない.
・バセドウ病の治療は「小児期発症バセドウ病診療のガイドライン2016」を参照する.
・抗甲状腺薬チアマゾール(MMI)が第1選択である.
・抗甲状腺薬には無顆粒球症や肝障害などの注意すべき副作用があり,定期的な検査を行う.
・発熱,咽頭痛の出現時には無顆粒球症の可能性を考慮し,すみやかに受診することを勧める.
●病態
・甲状腺ホルモンの合成・分泌が亢進した状態を甲状腺機能亢進症という.主な疾患はバセドウ病である.まれな疾患として中毒性多結節性甲状腺腫や中毒性甲状腺腺腫,TSH産生腫瘍などがあげられる.
・一方,ホルモン産生亢進を伴わず甲状腺濾胞の破壊による甲状腺ホルモン過剰状態もあり,無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎,薬剤誘発性などが相当する.甲状腺中毒症とは過剰な甲状腺ホルモンによって代謝と活動性が亢進