●病態
・月経異常・男性化徴候・多嚢胞性卵巣を主症状とする.月経異常の原因として頻度が高く,不妊の原因となるので早期診断と治療が望まれる.
・副腎ステロイド産生異常や糖・脂質代謝異常,肥満などの全身的な異常を生ずることから,メタボリックシンドローム関連性疾患としてとらえられる.病因は多因子と考えられ,多様な遺伝的要因に出生前後の環境因子の関与があり,病態も個々でさまざまである.
・日本人は肥満や男性様発毛が顕著でないことから欧米の診断基準をそのまま適応することができず,日本産科婦人科学会より月経異常,血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常,多嚢胞卵巣の3つの所見を満たすという診断基準が設定されている.しかしこれらの基準は成人を対象としたものであり,思春期女子にとっては正常の症状(生理的範囲の月経不順・痤瘡・多卵胞性卵巣)も含まれている点で注意が必要である.
・専門家によるコンセンサスが提案され,1~2年以上持続する月経不順に,高アンドロゲン症(a:テストステロン値が持続的に成人正常域以上の場合は最も信頼性の高い証拠となる,b:中等度~重度の多毛症は臨床的な証拠となる,c:治療に抵抗性の炎症性尋常性痤瘡は,高アンドロゲン症がないかを検討すべき徴候である)が認められる場合PCOSを念頭におき評価するが,確定診断には経時的に評価し直すことが必要とされている.
・鑑別診断は,ほかの無月経症,副腎ステロイド産生酵素異常症,Cushing(クッシング)症候群,アンドロゲン産生腫瘍,高プロラクチン血症,甲状腺機能低下症など.
・LH/FSH,テストステロン(遊離テストステロン),耐糖能,脂質のほか,甲状腺ホルモン,PRL,17-OHP,アンドロステンジオン,DHEA-Sなどを適宜追加して評価する.
●治療方針
臨床症状の改善だけでなく,不妊やメタボリックシンドロームの予防など長期
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