●病態
・脂質の加水分解によって生じる脂肪酸のなかで,体内で生合成できないものを必須脂肪酸とよぶ.脂肪酸は炭素原子の結合部の二重結合の数によって飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸に分けられ,さらに多価不飽和脂肪酸は最初の二重結合がn末端から何番目にあるかによってn-3(ω3)系,n-6(ω6)系,n-9(ω9)系に分類される.
・このうちn-3系の脂肪酸はα-リノレン酸から,n-6系の脂肪酸はリノール酸から合成されていくが,このα-リノレン酸とリノール酸をヒトは生合成することができないため,この2つが狭義の必須脂肪酸ということになる.しかしこれらの脂肪酸が不足すると,その代謝産物であるn-3系のエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA),n-6系のアラキドン酸(AA)なども欠乏状態になるので,これらの脂肪酸も必須脂肪酸に準じたものとして理解しておいたほうがよい.
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