診療支援
治療

原発性免疫不全症
primary immunodeficiency diseases(PID)
有賀 正
(社会医療法人母恋・理事長(北海道))

治療のポイント

・原発性免疫不全症(PID)は,きわめて多彩で多数の疾患群から構成され,診療のポイントを一括して記述するのは容易ではない.

・個々の疾患の概説は「小児慢性特定疾病-診断の手引き-」(国立成育医療センター小児慢性特定疾病情報室編,2016)の⑩免疫疾患,「原発性免疫不全症候群診療の手引き(日本免疫不全症研究会編,2017)」,「免疫症候群(第2版)Ⅲ(日本臨牀社,2016)」などの文献を参照するとよい.

●病態

・PIDは免疫担当細胞や免疫関連分子の異常で,免疫機構が正しく機能しないために発症することを原則とする,遺伝性の疾患群である.近年,PIDの病因となる新規遺伝子が続々と報告され,疾患数は飛躍的に増えてきている.

・最新のInternational Union of Immunological Societies(IUIS)による分類(2017)では,①複合免疫不全症,②複合免疫不全を伴う特徴的な症候群,③抗体欠損症,④免疫調節障害,⑤先天性食細胞異常,⑥自然免疫不全症,⑦自己炎症症候群,⑧補体欠損症,⑨原発性免疫不全症の表現型をとる疾患(非遺伝性)の9群に分類されている.新規の疾患/病因遺伝子の報告はその後も続いており,今やPIDの疾患数は300を超えている.

・PIDの主な病態は易感染性であり,病因となる病原体はさまざまで欠陥のある免疫機構に関連した特徴を示す.免疫機構の調節機構欠陥を示す遺伝性疾患群もPIDに属しており,自己免疫,自己炎症,アレルギー病態を呈する疾患が含まれる.また悪性腫瘍の発症リスクが,健常者より大きいのもPIDの特徴である.

●治療方針

 PIDは個々の疾患の特徴に即した対応が必要であるが,早期診断・早期(対応)治療が重要である.特に重症複合免疫不全症(SCID:severe combined immunodeficiency)ではそれが予後を

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