診療支援
治療

急性増悪への対応
management of worsening asthma and exacerbation
手塚純一郎
(福岡市立こども病院アレルギー・呼吸器科・科長)

治療のポイント

・まず発作強度を判定し,低酸素血症を認めた場合には直ちに酸素投与を開始する.

・大発作以上は原則入院.

・薬物治療はβ2刺激薬吸入を基本とし,必要に応じてステロイド全身投与を行う.

・アミノフィリン投与はけいれんなどの副作用に十分な注意が必要である.

●病態

・気管支喘息は気道の慢性炎症を背景に気道過敏性亢進,気流制限,リモデリングをきたす慢性疾患である.従来,喘息患者の急な咳き込み,呼気性喘鳴,呼吸困難を「喘息発作」と呼称していたが,喘息が慢性疾患であるということから,「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」より「急性増悪(発作)」と呼称することとされた.

・喘息急性増悪の診療にあたっては発作強度判定を行い,すみやかに治療を開始するとともに,呼気性喘鳴をきたす他疾患を鑑別し,肺炎,無気肺,air leak(空気漏出)などの合併症の検索も同時に行う必要がある.

●治療方針

 喘息急性増悪の診療にあたっては,身体診察を行うとともに経皮酸素飽和度(SpO2)の測定を必ず行う.発作強度判定表(表1)の主要所見を参考に発作強度を判定し,大発作以上であれば原則入院が必要である.発作強度判定後は図1のフローチャートに従い治療を開始する.

A.中発作以下の場合

 SpO2が95%未満であれば酸素吸入を開始する.治療の主体はβ2刺激薬吸入であるが,吸入量については乳幼児であっても減じることなく行う.加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)を使用することも可能であるが,手技が未熟な患者ではスペーサーを用いる必要がある.

 β2刺激薬吸入を行ったあとは20~30分後に効果判定を行い,効果不十分であれば3回まで反復吸入を行う.β2刺激薬吸入で改善するものの症状が完全に消失せず残存する場合は,ステロイド全身投与を表2を参考に行う.アミノフィリン投与については有効血中濃度域が狭く副作用発現頻度が高いた

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