診療支援
治療

食物アレルギー
food allergy
佐藤さくら
(国立病院機構相模原病院臨床研究センター病態総合研究部・病因病態研究室長)

治療のポイント

・特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテスト陽性だけで安易に除去を指示するのではなく,必要に応じて食物経口負荷試験を行い,診断を確定する.

・診断確定後には,定期的に負荷試験を行い症状なく食べられる範囲の量を確認し,積極的に食べるように指示する.

・重篤な症状誘発のリスクがある症例での負荷試験は,初めに少量を目標に行い,それが陰性であればそのあとに中等量を目標とした負荷試験を行う.

・誤食などでアナフィラキシーを起こすリスクがある患者には,あらかじめアドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方しておく.

●病態

・「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」を食物アレルギーと定義し,原因となるアレルゲンの侵入経路は問わない.

・免疫学的機序は,特異的IgE抗体が関与するIgE依存性反応が最も多く,特異的IgE抗体の関与が証明されない非IgE依存性反応がある.

・IgE依存性では,特異的IgE抗体がマスト細胞上の高親和性IgE受容体に結合し(感作),その後再びアレルゲンに曝露されるとマスト細胞が活性化する.非IgE依存性では,特異的Tリンパ球が関与していると考えられている.

・乳幼児期に発症した場合,成長とともに自然に耐性獲得することが多く,その機序として消化管の発達に加え,経口免疫寛容の発達(制御性T細胞の増加,特異的IgG4抗体の上昇など)が認められる.

●治療方針

 治療・管理の原則は「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」である.必要に応じて食物経口負荷試験(OFC:oral food challenge)を実施し,診断の確定および「食べられる範囲」の量を確認し,積極的に食べるように指示することが望ましい.

A.診断

 特定の食物により症状が誘発されること,特異的IgE抗体など免疫学的機序を介する可能性があること,に

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