診療支援
治療

蕁麻疹
urticaria
相原雄幸
(相原アレルギー科・小児科クリニック・院長(神奈川))

治療のポイント

・皮疹が膨疹(紅斑を伴う一過性限局性の浮腫)で,多くはかゆみを伴い24時間以上同一部位には存在しない.

・小児における皮膚アレルギー疾患のなかでは頻度が高い.

・詳細な病歴聴取による原因・誘因などから病型分類し,回避・除去して抗ヒスタミン薬を主体とした治療を行うことが基本である.

・原因検索のための画一的な検査はなく,アレルゲン特異的IgE抗体検査は一部にのみ有用である.

・小児では急性感染症罹患が誘因となる頻度が高い.

●病態

・蕁麻疹は,何らかの原因により皮膚マスト細胞の脱顆粒が起こり,ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され,小血管拡張による紅斑,血管透過性亢進による血漿漏出と膨疹,知覚神経刺激によるかゆみなどが誘発される疾患である.全身のいずれの部位にも出現し,形・大きさ,持続時間はさまざまであるが病型により一定の傾向がある.

・病態に関与する因子としては,①直接的誘因(外来抗原,物理的刺激,発汗,食物,薬剤,運動),②背景因子(抗原感作,感染,疲労・ストレス,薬剤,基礎疾患)などがあるが,複数因子が関与して発症する.

・病型としては①特発性(明らかな誘因がなく起こるもの),②刺激誘発型(アレルギー性,物理性,NSAIDsなど特定の誘因が明らかなもの),③血管性浮腫(深部の浮腫,24時間以上症状が持続する),④蕁麻疹関連疾患(クリオピリン関連周期熱など)の4つに分類されている.また特発性蕁麻疹は,症状の持続期間により急性(6週間未満)と慢性(6週間以上)に分けられている.

・小児の蕁麻疹ではこのうち特発性で急性のものが多く,特に急性感染症罹患(発症直前や回復期を含めて)に関連して発症する頻度が高い.また食物アレルギーなどの刺激性誘発型や,コリン性蕁麻疹の頻度も成人に比して頻度が高い.

・最新のガイドラインとして,日本皮膚科学会からの「蕁麻疹診療ガイドライン2018」がある.

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