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治療

薬剤アレルギー(SJS,TEN,DIHS,血清病を含む)
drug allergy(including SJS,TEN,DIHS,and serum sickness)
山口正雄
(帝京大学ちば総合医療センター第二内科(呼吸器)・教授)

●病態

・医薬品が適切に選択され適正に使用されても,まれに有害な薬物反応が起こりうる.その大半は薬理作用に基づく反応だが,一部は薬理作用からは予測されない反応である.薬剤アレルギーは後者に属し「薬剤の投与を受けた生体で発生する,薬剤またはその体内代謝物を抗原として,それに対応する抗体あるいは感作リンパ球との間で発現した免疫反応」と定義される.

・近年は,この定義では説明しきれない反応も知られている.その例として,薬剤性過敏症症候群(DIHS:drug-induced hypersensitivity syndrome)は薬剤アレルギーだけでなくウイルス(主にHHV6)再活性化も加わって遷延する症状を引き起こす.

●治療方針

A.診断

 薬剤アレルギーの可能性を疑うことがまず重要である.問診で確認すべき重要項目は,薬剤投与と症状発生との時間的関係,薬剤投与中止の影響,薬剤再投与(もし行われたのならば)の影響である.アナフィラキシーについては薬剤投与直後に,皮膚症状(蕁麻疹,皮膚紅潮),呼吸器症状(気道狭窄,喘鳴),循環器症状(頻脈,血圧低下),腹部症状(腹痛,嘔吐,下痢)などが生じる.

 重症薬疹としてはStevens-Johnson(スティーブンス・ジョンソン)症候群(SJS),中毒性表皮壊死症(TEN),DIHSなどが知られている.TENはSJSの重症型と位置づけられており,紅斑や粘膜発赤に加えて広範なびらん,壊死が生じる.血清病(serum sickness)は抗血清(ウマ血清)投与後に生じる免疫複合体が関与するⅢ型反応であり,発熱,蕁麻疹様の皮疹,関節炎を呈する.抗血清のほかに抗菌薬(ペニシリンなど)や抗体製剤投与でも誘発されうる.

B.治療

 全身症状を把握しつつ,すみやかに病歴や薬剤投与歴を調べ薬剤アレルギーの診断(またはその疑い)をつける.それと同時並行で原因薬を中止し,症状を

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